金沢市、金澤町家の保存へ懇話会を設置 |
進む取り壊しに『待った』 金澤町家 保存へ懇話会
中日新聞:2007年9月4日
初会合 年度末に市へ提言
金沢市内で「金澤町家」の取り壊しが進んでいることから、市は保存に向け有識者らによる懇話会を設置し、町家保存と活性化に本格的に乗り出した。市役所で第一回の懇話会が開かれた三日、委員から「町家で暮らす楽しさや誇りを感じられるように施策を考えるべきだ」などの意見が出された。懇話会はさらに二回開き、保存のための施策をとりまとめて年度末に市へ提案する。 (沢田一朗)
市によると、金澤町家はおおよそ昭和二十年以前に建てられた歴史的建築物で、町家や格式を重んじた武士系住宅、近代和風住宅など。上質で洗練されたたたずまいで、住民同士のコミュニティーがはぐくまれてきたという。
藩政期の金沢では、城郭や藩の施設を中心に武家屋敷が建ち、その間を縫うように帯状に町家が分布していた。
しかし、二〇〇四年の市の調べでは、中心部の歴史的建築物は約九千五百棟となり、五年前と比べて、取り壊しで約千四百棟が激減していることが分かった。
市は、町家改修費の一部を助成するなどの支援をしているが、現代生活に合わないなど所有者や居住者の意向により、町家の取り壊しは進んでいる。消失により、まち並み保全や地域活力の低下も危ぐされている。
懇話会のメンバーは大学教授や建築士、町家の利用者ら十人。町家の活用や取り壊さないための施策の検討を行う。
この日の懇話会では、座長に金沢大大学院の川上光彦教授(都市計画)を選出し、市側から現況報告を受けた。
委員からは「保存だけでは減る一方だ。歴史を受け継いだ町家を新たに造るべきではないか」「高齢の住人がうまく世代交代できる仕組みが必要だ」「耐震や防火、維持の問題で、住民が相談できる組織をつくるべきだ」との意見も出された。
8割が『町家の継承必要』 市民調査
懇話会では、金澤町家に対する市民・所有者の意識、町家の実態調査などが報告された。
回答者の四割が町家に「住んでみたい」「活用したい」とし、さらに八割が町家の継承・活用が「必要である」とした。
市民・所有者の意識調査は、金澤町家継承・活用研究会が二〇〇五年夏に二十歳以上の市民に行い、五百人から回答が寄せられた。
それによると、町家の継承・活用について、八割が「必要である」と答え、三十−四十代で九割を超えた。四割が「住んでみたい」「活用したい」とし、二十代では六割に上った。
町家実態の調査は、研究会が〇五年末から〇六年初めに実施し、百七十件を超える町家を利用する住民や事業者から回答があった。
六十五歳以上のみの世帯が四割以上で、今後も約六割が「使い続けたい」とし、約半数が売却などに抵抗を感じていた。しかし、使い続ける問題点としては、半数以上が「耐震性や防火性が不安」を挙げ、約三割が「傷みが激しく修繕・改修が難しい」と答えた。
研究会の不動産業・建築業者への調査も報告され、町家の市場性の低さと維持費の高さから解体されるケースが多いことが紹介された。 (沢田一朗)
金沢市公式サイトには情報がありませんでした。座長を選出とあるので、具体的な動きはこれからなのかもしれません。
かなざわ町屋情報バンクや金沢R不動産のような民間主導で活用を図る取組みもみられます。記事中のアンケート結果でも20代の意識が高いことも将来的な可能性を見いだせます。ストックが多いと街並みに対する意識も高くなるのでしょうか。今後も金沢市の動向に注目していきたいと思います。