旭川で扇形車庫の解体進む |
消えゆく90年の記憶 旭川 扇形車庫の解体進む
北海道新聞:09/28 16:19
(写真:JR旭川駅近くで取り壊しが進む扇形車庫。手前は車両を方向転換する転車台)
旭川市内に残る数少ない大正初期のコンクリート製建物、JR旭川駅隣接の扇形(せんけい)車庫の解体工事が進んでいる。半円形よりも大きく扇を広げたような形が特徴で、一九一七年(大正六年)から約九十年間、車両の待機や整備に使われてきた。
鉄骨コンクリート造りで広さ約三千六百平方メートル。中央に転車台を備え、扇形車庫としては道内最大の二十四両を収容した。二○○三年に車両基地が移転して役目を終え、駅前再開発に伴う鉄道高架化のため、取り壊すことになった。
外観の白さと対照的に、内部は蒸気機関車のススで真っ黒。「コンクリートの劣化は激しい」と担当者。解体工事は十月末に終わり、跡地は広場や宅地になる予定。
一般的には廃墟・廃線趣味というものがありますが、それとは別に近代化遺産として特に注視していかないといけません。社会インフラが老朽化ないし役目を終えた場合、保存するメリットが薄いことが容易に想定できるからです。しかし、それが無くなってしまえば技術史とその時代を後世に伝えることは叶わない。活用には向かないものをどうやって保存・活用するか。自由な発想が求められます。
今回の場合、2003年から使用されていなかった訳ですが、そのまま野ざらしになって管理上のリスクを背負うよりも所有者の費用負担が最小で済む形で活用した方が記念になって良かったんじゃないかなあ…と思います。
鉄道車庫について調べていたら、建築マップに「現存する機関庫について」というページがありました。中でも「豊後森機関庫」がとても美しいです。こちらは保存運動の願い叶って、玖珠町が買取り公園として整備するそうです。今後の展開が楽しみです。