千代田区の参院議員宿舎の建て替え問題について、産経ニュースが触れています。移転先の緑地を守るため都知事が反対しており、代わって九段宿舎の建て替えを行う計画を提案も参院が反対しているとのことです。
東京都千代田区紀尾井町の新参議院宿舎建設予定地=10日午後、東京・千代田区
「都心の緑」保全にウルトラC? 参院宿舎建て替えで凍結案
MSN産経ニュース:2007.11.10 22:36
「東京都心に残る貴重な緑を守れ」と周辺住民から石原慎太郎東京都知事までが反対している参院清水谷議員宿舎(東京都千代田区)の建て替え計画見直し案が浮上した。衆院の九段宿舎(同)を取り壊し、跡地に衆参合同宿舎を建設。清水谷宿舎は建設を凍結するか規模を大幅縮小するという。その一歩として、笹川堯衆院議院運営委員長は近く、九段宿舎に住む101世帯の衆院赤坂宿舎(東京都港区)への転居を衆院議運委理事会に提案する。
清水谷宿舎問題に火が付いたのは、9月5日の石原知事と猪瀬直樹副知事の視察だ。石原氏は「こんな緑地があるとは知らなかった。ここをつぶすのは反対だ」「今ある場所で建て直せばいい。建て替えの間、都がプレハブを作る」などと発言、建設反対姿勢を明確にした。この模様が報道され注目を集めた。
建設予定地は都条例で高さ15メートルを超える高層建築が原則禁じられている。建設には知事の同意が必要で、参院は7月の着工予定を遅らせ、都と協議を続けているが進展していない。
そこで笹川氏らがまとめたのが、九段宿舎の取り壊しと衆参合同宿舎建設プランだ。
定員125戸の九段宿舎は、昭和48年の建設。老朽化が進んでいる上、建築基準法の耐震基準を満たさなくなり、約4億5000万円をかけ、20年度から耐震補強工事に取りかかる予定だった。これを全面的に建て直し、衆参合同宿舎にするというのだ。
笹川氏は「耐震補強をしても、何年使えるか。補強工事費ももったいない。すぐに取り壊すべきだ」と指摘。「九段に衆参合同宿舎を建設すれば、法律を曲げてまで高層ビル(清水谷宿舎)を建てずにすむ」という。
合同宿舎建設期間中、九段宿舎の議員に赤坂宿舎に住んでもらうことにもメリットがある。
赤坂宿舎は首相官邸裏の超一等地で家賃は月額9万2000円。総事業費約334億円をかけたにもかかわらず、「豪華批判」で、300戸中、約200戸しか入居していない。笹川氏は「国民の税金で作ったのに100戸も空いているのは非常識だ」と強調。家賃収入も得られる、という。
清水谷宿舎をめぐっては、公明党の太田昭宏代表や自民党の中堅・若手議員が作る「改革加速議員連盟」(会長・棚橋泰文元IT担当相)が、建て替え計画を凍結し、赤坂宿舎との共用を提言していた経緯もある。
しかし、これにかみついているのが参院だ。自民党の山崎正昭参院幹事長は「今まで設計費を含め6億〜7億円かけ準備してきた。予定通り建て替えるのが筋だ」と反論。衆院と参院の共用施設はほとんどなく、「参院不要論の一環か」(参院の自民党閣僚経験者)との声まであり、参院との交渉は難航しそうだ。
■参院清水谷議員宿舎建て替え問題
現在の清水谷宿舎が老朽化したため、7月から約100メートル離れた国有地(約4500平方メートル)に総事業費約44億円をかけ、地上16階建ての新宿舎(約80戸)の建設工事を始める計画だった。しかし、建設予定地は、旧紀州徳川家の藩邸跡で巨木が生い茂る緑地とあって周辺住民が反発。同所は、都条例で風致地区に指定されており、高さ15メートル以上の高層建築は都知事の同意が必要だが、石原慎太郎都知事も反対を明言。参院は着工を見合わせている。