田無にある
東大農場の牛舎が建築的に価値のある物として再生、博物館になったそうです。
近代建築探訪でも取り上げられていますので、リンクしておきます。その他の建物についても「東大登録文化財」とする計画があるそうです。
西東京市の東大農場の旧牛舎、取り壊し免れ博物館に
読売新聞:2007年11月22日
西東京市の「東大農場」にある旧牛舎が、取り壊しを免れ、「農場博物館」として23日、オープンする。東京大は老朽化したこの牛舎の解体も念頭に、来歴を調べてみたところ、東大安田講堂を建てた内田祥三(よしかず)・元東大総長が監修した貴重な建物と判明した。改修も済んで、農場や日本の農業の歴史を伝える博物館として生まれ変わる。(山田睦子)
1935年に目黒区駒場から、現在の西東京市緑町1に移転してきた東大農場。牛舎は移転前年の34年、西の隅に建てられた。木造平屋の瓦ぶきで、床面積は185平方メートル。乳牛約20頭が飼われ、搾られたミルクは「東大牛乳」として近所にも売られていた。
しかし、周囲の宅地化で、「においがする」と苦情が増える。75年ごろ、牛たちは農場の中央に移された。隅にあった牛舎は学内向けの「農機具展示室」として使われることになった。
建築から70年が過ぎ、雨漏りする旧牛舎に出入りする人はなくなり、近年は単なる物置の状態に。屋根が腐って瓦が室内に落ち、「いよいよ危険」と昨年春、取り壊しが検討された。
一見ただの小屋。だが、一級建築士らが見ると、ボルトが多用されていたり、はりの角度が日本家屋と異なっていたり、「普通の大工の仕事ではない」。本格的に調べた結果、安田講堂や同潤会アパートを設計し、1943年に東大総長となった内田祥三博士が監修して建てたとわかった。
内田博士の二男で日本建築学会長も務めた祥哉(よしちか)さん(82)も今年、東大農場を訪れ、「価値のある建物」とお墨付きを与えた。
建物の運命は変わり、修復して、博物館として生まれ変わることになった。特注で焼いた瓦にふき替え、はりも新調して、改修工事は6月までに完了した。
博物館では、明治時代の農学の教科書や農機具、戦前使われていたカマ、戦後間もなく輸入された耕運機などを展示する。博物館の案内は、ボランティアが担う。24日以降の公開予定は未定だが、12月中には再度公開したいという。
担当の米川智司准教授は「関東大震災から間もなく建てられ、耐震にも気を配った牛小屋だった。当時の造りを再現できるように改修したので、建物自体も見てほしい」と話している。
開館は、23日午前9時30分〜午後3時30分。同日の東大農場収穫祭にあわせて行われる。入場無料。