学習院大学が、前川国男設計の中央校舎を取り壊す方針とのこと。これに対して卒業生らから保存要望書が出された旨をケンプラッツが伝えています。11月12日の
プレスリリースによると、来年夏には跡地に大学中央教育研究棟(仮称)が着工予定とのこと。1月12日、13日には一般見学会が予定されています。また、
近代建築ホームページの忠太さんのブログ
近代建築探訪によると13日の見学会では特別企画として同校舎の登場する『ウルトラセブン』第29話「ひとりぼっちの地球人」を上映するそうです。内部を見る貴重な機会です。ぜひ参加してこの校舎に対する思いを伝えようと考えています。
前川国男の「学習院大学・ピラミッド校舎」建て替えに、卒業生らが保存要望書を提出
ケンプラッツ:2007/12/17
前川国男の設計で1960年に竣工した「学習院大学ピラミッド校舎群」が取り壊されることが明らかになり、同大学の卒業生や建築専門家らで構成する「学習院大学ピラミッド校舎群の保存活用を願う会」が12月14日、福井憲彦学長に保存活用要望書を提出した。
ピラミッド校舎群は、東京・目白の学習院大学キャンパスのほぼ中央にある。「ピラミッド校舎」あるいは「ピラ校」の愛称で呼ばれる「中央校舎」を取り囲むように、北側と南東側に2棟の前川設計による校舎が残る(竣工時は東側にも前川が設計した校舎があった)。
大学はホームページ上で11月21日、「大学中央教室位置に平成20年(08年)夏着工予定で大学中央教育研究棟(仮称)建築計画を予定しております。この建築計画に先立ち、中央教室の取壊しを平成20年1月〜3月頃の予定で計画を進めています」と発表した。築後47年が経過し、防水工事、耐震工事、照明・空調整備に多額の費用がかかること、内部構造が授業に不向きであることなどがピラミッド校舎解体の理由という。
解体を知った卒業生や建築史家らが急きょ「保存活用を願う会」を結成。賛同者のコメントを集めるとともに、保存活用要望書をまとめ、学長に手渡した。会の代表を務める松隈洋氏(京都工芸繊維大学准教授、元前川国男建築設計事務所所員)は、「京都会館(1960年)や東京文化会館(1961年)とほぼ同時期にできたことから、日本ではそれらの高い評価の陰に隠れることになってしまったものの、海外の建築雑誌では大きく取り上げられた。広場を囲む群造形の手法は、その後の前川の方法論の基になったもので、前川国男の歴史を考える上でも重要な意味を持つ」と話す。
また、同大学の卒業生で、会の副代表を務める末永航・広島女学院大学教授は「僕らが学生のころには、学園祭の後にピラ校の壁に男子学生が駆け上がっては池に落ちる、という光景が毎年繰り返されていたことを思い出す。思い出は人それぞれだが、卒業生にとって記憶に残る校舎であることは間違いない」と話す。
同大学広報は、「1月12日、13日に行われる見学会で建て替え計画の説明を予定している」と話している。