松江市で、公園内の美術館解体に伴い、美術館部分の土地を所有する企業との調整が難航しています。解体されるのは松江ウォーター・ヴィレッジ内の
ルイス・C・ティファニー庭園美術館。この解体にともない、同じ敷地内に市が運営する
松江イングリッシュガーデンへの影響も危ぶまれています。
松江市運営の「ガーデン」 チャペル解体景観激変か
山陰中央新報:'07/10/18
松江市が宍道湖北岸の観光拠点と位置づける同市西浜佐陀町の松江ウォーター・ヴィレッジで、今年三月末で閉館したルイス・C・ティファニー庭園美術館の施設解体工事が、今月中にも始まる。市は今後も隣接する「松江イングリッシュガーデン」を単独運営するが、同美術館を持つ堀内不動産(名古屋市)が所有する土地を含んでおり、早晩の戦略の見直しは必至。観光都市・松江は「余震」に揺れている。
同美術館をめぐっては、堀内不動産が「誘致時の約束事項が守られていない」として、市と係争中。九月初めに、運営会社のグレコ・コーポレーション(名古屋市)から施設解体の申し入れを受けた市は、イングリッシュガーデンの業務に支障が生じないよう、工事方法などの協議を求めている。
ただ、法的に差し止めは難しく、今月中にも解体工事が始まる見通し。このため、市は同ガーデンの在り方の再検討を迫られることになった。
松江ウォーター・ヴィレッジは、総敷地面積約四万平方メートル。このうち、堀内不動産の所有地約八千五百平方メートルには、同美術館の敷地だけでなく、市が同ガーデン内に無償で借り受けている土地も含まれており、市にとって難問となっている。
さらに、同ガーデン内に立つチャペルも同不動産の所有で解体対象。「売り物」の景観への影響は大きい。
美術館の跡地自体の先行きも、不透明だ。グレコ・コーポレーションは「現時点で、コメントはない」としている。
入場無料で気軽に利用できる同ガーデンは、同美術館閉館後も好調。四月末−九月末の入場者数は九万六千人で、同美術館が営業していた前年度実績を上回る。
また、ガーデニング教室にも、定員の六倍超の二百五十人が応募。市は、ニーズは低くないとみて、運営に手応えを抱く。
しかし、同美術館の閉館、解体という衝撃が本当に顕在化するのは今後。錦織裕司・市観光文化振興課長は「魅力を感じてもらっている人たちを大事にしながら、市民参加のソフト事業を展開していきたい」と話すが、道のりは険しそうだ。