言うまでもなく歌舞伎の伝道であり、東銀座の町の顔でもある歌舞伎座の再開発について、親会社である松竹から
プレスリリースが出されています。以前から再開発の声だけは聞こえていましたが、いよいよ幕引きに向かって動き出しました。建築的な面以上に文化的な面からも大きな損失と考えます。
歌舞伎座、新春から「さよなら公演」 22年4月に建て替え
産経新聞:2008.10.20
歌舞伎の殿堂として親しまれている歌舞伎座(東京都中央区銀座)が、平成22年4月の公演を最後に建て替えられることが20日、同劇場を経営する松竹から発表された。建物の老朽化によるもので、来年1月から16カ月間「歌舞伎座さよなら公演」と銘打った公演を行う。新劇場の形態などについては来年1月に明らかにされる。
「現在の建物でこのまま10年、20年と公演を続けていくことは無理。新しい時代に合った劇場に建て替える」。記者会見した松竹の安孫子正専務は、そう説明し、さよなら公演について「新しい歌舞伎座につなげるため、最後にふさわしい興行にしたい」と語った。今後、劇場などでファンにアンケートを行い、人気の演目や配役を「さよなら公演」に反映させていきたいという。
同社は建物を取り壊し、劇場とオフィスを併設した複合ビルを建設する予定。25年ごろの再開場を見込んでおり、建て替え期間中の歌舞伎公演は、新橋演舞場を中心に、国立劇場、三越劇場、浅草公会堂など都内の劇場で分散して行うことを検討。大阪松竹座、京都・南座、名古屋・御園座などの公演も増やしたいとしている。
現在の建物になってから半世紀以上が過ぎた歌舞伎座は耐震性などの問題点が以前から指摘されており、平成17年11月にも改築計画が発表されたが、経営上の事情などから延期されていた。
■歌舞伎座 明治22(1889)年に開場。大正10年に火災で全焼。関東大震災後に復興したが昭和20年に空襲で再び焼失。25年に東京芸大教授、吉田五十八氏の設計による現在の建物が完成し、翌26年1月から歌舞伎の興行が続けられてきた。客席数約1900。建物は文化庁の登録有形文化財。