先日お伝えした森永乳業盛岡工場の旧陸軍施設など、盛岡市内で相次いで取り壊される旧陸軍施設について、河北新報が伝えています。
旧陸軍施設相次ぎ解体 盛岡・青山地区
河北新報:2008年05月05日
旧陸軍関連の建物が数多く残る盛岡市青山地区で、街の景観が様変わりしている。覆馬場と兵舎が今年に入り、相次いで解体された。江戸期の町家をはじめ明治、大正期のモダン建築などの保存活用に力を入れる土地柄だけに、失われゆく地域のシンボルを惜しむ声が上がっている。
市北西部の青山地区は戦前、騎兵第三旅団や工兵第八連隊の駐屯地として発展した。戦後は戦地などからの引き揚げ者が住み着き、戦時の記憶を色濃く刻む街並みとして知られる。それが今年、いずれも民間企業が所有する覆馬場と兵舎が次々壊された。
さらに6月には、これも民間企業所有の覆馬場が姿を消す。旧陸軍施設で青山地区に残るのは市所有の覆馬場1棟だけとなる。
施設解体後の跡地は緑地になったほか、今後、スーパーなどが建てられる。施設所有の企業側には工場の規模拡大や業務縮小という事情があり、「既に決まっていたこと」と口をそろえる。
変ぼうする街並みに、青山大通り商店街の安部一夫会長(58)は「街の顔が失われていくのが寂しい。もう少し保存に向けて行政や企業と協議する時間が欲しかった」と肩を落とす。
「いわて・戦争を記録する会」の加藤昭雄事務局長(花巻市)も残念そう。旧陸軍の関連施設が1カ所に集中するのは全国でも珍しく、「文化財としてとても価値が高かったのに…」と解体を惜しんでいる。
建物の保存について、盛岡市は「多くは民間企業の施設で、市の現在の財政事情では買い取れない。ただ、市所有の覆馬場は国指定の文化財を目指して、地域の中で活用法を探りたい」(環境企画課)と語るのが精いっぱいだ。