東宝が「新宿東宝会館」の再開発を発表しています。隣接する「新宿コマ劇場」も今年末で閉鎖し、一体で再開発の予定とのこと。
東宝、新宿歌舞伎町の所有地をコマと協働で再開発
文化通信速報 5月30日
東宝は、新宿歌舞伎町の自社所有地(東京都新宿区歌舞伎町1-19-1)の再開発に、コマ・スタジアムと協働で取り組むことを決めた。東宝所有の「新宿東宝会館」と、隣接するコマ所有の「新宿コマ劇場」の両方が、今年12月末日をもって閉鎖し、一体で再開発される予定。その後のスケジュールや、映画館や演劇劇場が入るのかといった再開発の具体的な中身は、今後両社で詰めていく。
これに伴い、TOHOシネマズの「新宿プラザ劇場」、コマの「新宿コマ東宝劇場」「シアターアプル」の映画館3館も年内をメドに閉館する。新宿プラザ(1044席)は1969年 11月1日、新宿東宝会館とともに開業。開館作品はセルジオ・レオーネ監督「ウエスタン」(パラマウント映画)。「スター・ウォーズ」全6作など大作・話題作の数々を上映し、「タイタニック」(FOX、97年12月20日)で26万6千人という一興行動員記録を打ち立てた。
新宿地区は90年代半ば以降、郊外型シネコンの影響で各映画館が動員を落とす中、昨年2月にティ・ジョイ+TOHOシネマズ共同経営「新宿バルト9」が開業。今年7月には松竹の「新宿ピカデリー」開業も控えており、歌舞伎町を含む新宿地区の既存館の更なる動員減は避けられない状況にある。因みに、新宿プラザの年計を見てみると、前述の「タイタニック」の成績が大きく寄与した98年の動員は55万2千人、昨07年は17万7千人。
歌舞伎町に映画館を構える4社(東宝、東急レクリエーション、ヒューマックスシネマ、東亜興行)は“四葉会”を組織し、共同で再開発を行う構想を掲げているが、今のところ目に見える形での進捗はない。東宝の高橋昌治専務取締役は「東宝としては、あくまで四葉会を最優先したい。理論上は、東宝の単独開発もあるが、4 社の方がメリットがある。ホテル、映画館、商業施設、何を作るにしても、いま歌舞伎町という場所で単独で事業を行うのは簡単ではない。ただし、各社それぞれの事情があるので、時間がかかる。コマ、新宿プラザともに経営状態は良くないので、そのまま放っておくことはできない」と語る。まず東宝が動くことで、それをきっかけに4社再開発を前進させたいという、東宝サイドのアピールとも言える。