三井不動産、三信ビル跡地の暫定利用を発表 |
東京・有楽町の三信ビル跡地にイベント空間を開設
ケンプラッツ:2008.11.12
三井不動産は10月29日、東京・有楽町の三信ビルディング跡地にイベントスペース「日比谷パティオ」を開設すると発表した。跡地の開発計画に着手するまで、約2年間にわたって暫定的に運用する。「日比谷パティオ」は12月5日にオープンする予定だ。
約2700m2の敷地には、広場や案内館のほか、アート作品の展示や音楽のライブ演奏に用いるコンテナ6台を常設する。飲食店としてワゴンカーも並べる。オープニングにはキャンドルを使ったイルミネーションイベントを行うほか、冬季限定で氷を使わないスケート場を設ける。専用ワックスを塗布すると、氷と同じように滑走できる特殊プラスチックパネルを採用する。
三信ビルディングは1930年に完成した。三井不動産では、老朽化などを理由に取り壊しを決め、2008年3月に解体を終えていた。跡地の利用については、道路を挟んで建つ「日比谷三井ビル」との共同開発などを検討しているものの、詳細は発表していない。
なお、三信ビルは1930年に建設されたオフィスビルで、取り壊しをめぐっては日本建築学会から保存要望書(pdf)が出されるなど様々な議論がありました。その中でも特筆すべき活動を行ったのは、ボランティアで保存・再生の代替案を作成し三井不動産、東京都、千代田区に提出した「三信ビル保存プロジェクト」でした。
私事ですが、当時、このプロジェクトの方と連絡を取り、大手設計事務所の方と知り驚くと同時に、プレゼンテーションの質の高さに納得しました。他にも各業界の方々が参加され、保存案の実現性を検証していたそうです。
結局の所、三信ビルは無惨にも破壊されてしまいましたが、「三信ビル保存プロジェクト」というプロフェッショナルの参加した保存運動を通じ、学生だった私が痛烈に感じたのは、保存・再生にとって必要なのは、強烈な当事者意識をもち、周囲にビジョンを語り、プロジェクトを組成することのできるソーシャル・アントレプレナー的な意識だということです。
そして、「三信ビル保存プロジェクト」のような質の高い活動があってこそ、全国各地の保存・再生運動をモチベートし経験をシェアするために、それらをリンクした「事例集」や「交流の場」が必要だと感じ、本ブログをオープンした経緯があります。
残念ながら、まだ本ブログは質・量ともに私が願うような形にはなっていませんが、近い将来、皆さんに「月刊旧建築・第二期」をご披露できるように、と考えている次第です。