基準地価、3大都市圏2年連続上昇 |
基準地価、3大都市圏2年連続上昇…中心部では減速感
FujiSankei Business i. 2007/9/20
国土交通省は19日、7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を発表した。景気回復が続く中、東京、大阪、名古屋の3大都市圏では住宅・商業地ともに2年連続で上昇。地方圏では札幌、仙台、福岡各市の商業地が2けたの伸びを示すなど、中心都市を中心に持ち直しの傾向が広がった。全国平均は、商業地が前年比1・0%上昇し、16年ぶりのプラス。住宅地も0・7%の下落にとどまり、下落幅は4年連続で縮小した。
3大都市圏は、住宅地が4・0%(前年0・4%)、商業地が10・4%(同3・6%)といずれも前年を上回った。東京圏では、旺盛なマンション需要や不動産投資の活発化を背景に、2年連続で都区部の住宅・商業地の調査地点すべてが上昇した。大阪圏と名古屋圏ではともに住宅地が上昇に転じ、商業地も超高層ビルなどの建設で上昇傾向を強めた。
地方圏を見ると、住宅地の下落幅は2・3%(前年3・1%)と3年連続で縮小。商業地は、一部地方都市で上昇地点がみられた。
◇
■伸び鈍化 投資は地方へ
今回の基準地価の大きな特徴は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の中心部で、地価上昇に減速感がみられたことだ。東京・丸の内では年間変動率が22・6%の上昇だが、半期ベースでみると前半が13・4%の伸びに対し、後半には8・1%低下している。同じような減速は東京都心にとどまらず大阪市中央区、同西区、京都市中京区、下京区、名古屋市西区、同北区などでもみられた。
国交省では「都市部の地価相場が落ち着きを取り戻した」(土地・水資源局)と分析。また、専門家の間では「今後、米サブプライム(高金利型)住宅ローン問題に関連し、外資の投資手控えや不動産投資資金に対する金融機関の慎重な融資姿勢などで、減速感がより鮮明になる」(大手不動産幹部)との見方も出始めている。
もう一つの潮流の変化として、新潟県や富山県、茨城県、和歌山県、香川県、大分県などの県庁所在地11地点で、商業地を中心に新たな地価上昇地点が表れたことを挙げることができる。このことは、不動産投資が大都市から地方へ広がりをみせたことを意味している。
地方での地価上昇に影響を及ぼしたのが、市街地や交通基盤の整備だ。これにより利便性、収益性が向上し、投資を促したと考えられる。事実、地方の上昇地点をみると大型プロジェクトなどが完了している。富山市ではLRT(次世代型路面電車システム)が開業し、高松市では丸亀町A街区再開発ビルがオープンし、地域に利便性や活気をもたらした。
また、国交省は「観光資源の活用など地域活性化への取り組みも上昇の重要な要素」とみる。住宅地で全国上昇率1位となったのは北海道の倶知安町で、前年比33・3%も値上がりした。同町の場合、冬場のスキーに加え、夏場は急流をゴムボートで下るラフティングなどの観光振興策が奏功し、ペンション用地などの需要が高まったという。ただ、こうした取り組みはすべてが成功するわけではない。地方では地域の観光や産業振興策によって、地価に差が出てくる可能性もある。(高山豊司)
◇
【用語解説】基準地価
国土利用計画法に基づき、都道府県が不動産鑑定士の評価をベースに毎年7月1日時点で算定する基準地の価格。1平方メートル当たりの価格を住宅地や商業地などの用途別に示す。国土交通省が毎年1月1日時点で調べる公示地価と並び、土地取引価格の指標となる。今年の基準地点数は昨年より972地点少ない2万4374地点。公示地価が都市計画区域内を対象にしているのに対し、基準地価は林地などの同区域外も含む。
良くまとまっていますので、上記の記事だけで十分でしょう。一応、国交省の公式発表も貼っておきます(平成19年都道府県地価調査)。この「概括」は下記にクリップしておきました。「圏域別」のほうはちょっと長いので丸写しを避けます。
【調査結果】平成19年都道府県地価調査に基づく地価動向について(概括)
平成19年7月1日時点の都道府県地価調査によると、平成18年7月以降の1年間の地価動向は、三大都市圏においては2年連続して上昇し、地方圏においては、下落幅が縮小したものの、依然として下落地点が大半を占めた。その結果、全国平均で見ると、住宅地はほぼ横ばい、商業地は16年ぶりにわずかな上昇となった。
1 三大都市圏・地方ブロック中心都市においては、景気回復が続く中、旺盛なマンション・オフィス需要や企業収益の改善を背景として、それぞれの地域の平均が上昇するとともに、都市の中心部から周辺地域へ上昇傾向が広がったが、その広がり方は利便性・住環境により一様ではない。また、三大都市圏都心の一部で高い上昇率を示した地点の中には、今年に入って上昇率が低下した地点も見られた。
2 その他の地方圏においても、地方中心都市を中心に、地域活性化の取り組み、市街地整備や交通基盤整備等による利便性・収益性の向上を反映して、上昇地点が増加した都市やはじめて現れた都市が増加し、下落地点についても、その半数以上で下落幅が縮小した。しかしながら、地方圏全体では、依然として下落地点が大半である。
このように、今回の都道府県地価調査に基づく地価動向は、総じて見れば、三大都市圏・地方ブロック中心都市の都心の上昇傾向が周辺地域に広がり、その他の地方圏でも地方中心都市を中心に上昇地点が増加するなど地価の持ち直しの兆しが広がりを見せ始めたが、地方圏の大半の地点では依然として下落が続いている。
なお、地価動向の先行きについては、景気・金利動向、需給バランスの動向、内外投資家の動向の影響などに留意すべきである。
「概括」でも投資家の動向の影響を云々していますが、7月1日時点の調査になっていますのでサブプライム破綻以前の情報を元にしている訳で、次回の発表では大勢が変わるのではないかと思います。都市部が買えないから地方中心都市を買うのであって、流入資金が少なくなれば地方都市から引き上げ、焦げ付いた開発案件だけが残るという「地域的バブル崩壊」も十分にありえます。