都市再生機構、15万戸を閉鎖方針 |
賃貸住宅15万戸を段階的に閉鎖、都市再生機構が方針
読売新聞:2007年12月7日3時1分
独立行政法人・都市再生機構(本社・横浜市、UR)は、所有する団地など賃貸集合住宅約77万戸のうち最大で約15万戸について、段階的に閉鎖していく方針を固めた。
団地の老朽化やURが抱える債務の縮小などが理由。閉鎖される15万戸の入居者は40万人前後に上り、URは、URの別の住宅への転居を要請し、引っ越し費用などを負担する考え。
約半世紀にわたって公共住宅の建設・運営を担ってきたURが団地を閉鎖し、住民に転居を求めるのは初めて。住民組織からは反対の声が上がっている。
閉鎖対象となるのは、1960年前後に建設されて老朽化が進んだり、交通の便の悪さから空室率が高かったりする団地が中心。団地内の一部の棟だけを閉鎖する案も浮上している。閉鎖される団地の具体名は未定。閉鎖開始時期や15万戸の閉鎖完了までの期間については、今後検討する。
URはこれまで、計11万3000戸分の建て替えを行ってきているが、費用負担が重いため、今後は駅前の一等地などにある一部団地を除いて建て替えは行わない方針。閉鎖した団地は、原則として解体して更地化し、民間に売却する。
個別の住民への説明は、計画が固まった段階で行う方針だが、URは住民に対し、URの別の団地に転居してもらうよう要請する考え。転居で家賃が上がる場合、国が基金から差額分を補てんする方針で、国土交通省は基金設立のため、2008年度予算に400億円を概算要求している。住民の引っ越し費用もこの基金から負担する予定だ。
URの賃貸住宅の住民25万世帯で組織する「全国公団住宅自治協議会」は6日、都内で開いた集会で、URから閉鎖・削減の方針が伝えられたことを示した上で、「居住の安定が最優先」とする反対アピールを採択。反対の署名を今後、国交省に提出する考えだ。
URからのプレスリリースはまだありません。7月5日付のリリースでは下記のように、あくまでも現在検討中の選択肢の一つであり、長期方針は年内に策定される見通しである旨が述べられています。
…当機構は、現在、賃貸住宅ストックの再生・活用方針の検討・作業を行っておりますが、これは削減自体を目的としたものではありません。また、この報道は、その検討・作業過程の時点での不確定な情報に基づくものであり、居住者の方々の居住の安定を脅かすような「追い出し」などはあり得ないものであって、居住者の方々の不安をいたずらに煽るものであり、誠に遺憾であります。
…また「検討作業は、多様な角度から、いろいろな条件を想定して行っており、作業過程において幾案のたたき台を検討してまいりましたが、報道のように削減自体を目的とするものではなく、また、報道の団地類型についても、団地の整備・活用に際して考えられるいくつかのタイプの一例に過ぎず、このような類型を固定して検討しているわけではありません。
…現在、このような賃貸住宅ストックの長期的な方針について、年内の策定を目途に検討中であり、決まり次第、公表し、皆様にお知らせさせていただきます。」