森ビルほか、「北仲通北土地区画整理組合」を設立 |
JIAが保存要望書を提出するなど、動向が注目されていた一群の建造物ですが、横浜アーバンラボなどとして利用されていた北仲BRICKこと旧帝蚕倉庫本社ビル(遠藤於菟設計、1926年竣工、横浜市文化財)が現在地で保全・活用、旧帝蚕倉庫も1棟が曳き屋され保存・活用、歴史的な護岸についても整備し復元される計画だそうです。
地権者が北仲通北土地区画整理組合設立
建通新聞:2007/12/26
横浜市中区の北仲通北地区市街地再開発事業に先立ち、同地区約7・5haの地権者である大和地所と日新、ユニエツクス、共益地所、UR都市機構、森ビル、財務省の7者が12月25日、「北仲通北土地区画整理組合」を設立した。2008年1月に仮換地の指定を受け、幅員14mの区画道路や水際線のプロムナード、公園3カ所などの基盤整備に順次着手する。これら区画整理事業の進展を踏まえ、各地権者が再開発事業を開始する。
北仲通北地区の土地利用は、再開発施設を配置するA—1〜A—4地区(合計3・2ha)、B—1〜B—3地区(合計2・9ha)、C地区(1・7ha)に区分。さらに、3カ所の公園や4カ所の広場、幅員14m・延長340mの区画道路などを配置する計画。
土地区画整理事業は、再開発の実現に向けた第一歩として、まず道路や公園などの公共基盤施設の整備と、敷地を整序するために実施する。
08年1月に仮換地指定を受け、土地区画整理組合が基盤施設の整備に順次着手。11年度までに事業を完了させ、換地処分をする計画。
区画整理事業の進展を踏まえ、各地権者が再開発施設を段階的に建設する。
再開発事業では、大和地所が事業主体となる「A—1地区(11階建ての商業・オフィス棟)」と「A—2地区(42階建ての住宅棟と6階建ての商業棟)」、森ビルとユニエツクス、共益地所が整備する「A—3地区(6階建ての商業・業務棟)」と「A—4地区(52階建ての住宅・ホテル商業棟)」にそれぞれ10 年度までに着工・完成させる計画。5施設で延べ床面積約26万0540平方mの施設を想定している。住戸数はA—2地区520戸、A—4地区730戸の合計1250戸。駐車場を各ビルの地下部分と、A—1地区ビルとA—2地区のタワー内部(機械式駐車場)に配置し、A地区全体で約1390台を収容する。
また、URが「B—3地区(都心型住宅)」に既存居住者向けの住宅を11年度までに整備する。
その後、第2段階として日新が「B—1地区(オフィス、オフィス・都心型住宅)」、URが「B—2地区(オフィス・都心型住宅)」の解体・再開発ビル建設に着手し、14年以降に事業全体を完成させる。
地区内の歴史的建造物や土木遺構については、旧帝蚕倉庫3棟のうち1棟(C倉庫)を曳き屋して保存・活用、旧帝蚕倉庫本社ビルを現在地で保全・活用する。歴史的な護岸も整備し復元する。いずれも再開発ビル建設に先立って施工。曳き屋を約半年間、護岸整備を約10カ月間の工期で実施する。
今後、区画整理事業の進展などを踏まえ、各街区ごと設計者や施工者の選定作業を進めていく。
このプロジェクトについて、私は別のブログで全面保存を主張してきたのですが、結果的に保存されるのはごく一部の建造物に留まる残念な結果となりました。しかし、再開発に先立って文化的活動を展開、再開発地区の建造物への関心を高めたプロジェクトであり、歴史的建造物の開発的活用手法として評価することができると思います。少なくとも、北仲BRICK&北仲WHITEとしての短期間の活用がなければ、再開発時の保存も形だけのものとなりかねなかったわけですし、保存への関心も喚起することはできなかったと思います。