先日お伝えした森永乳業盛岡工場の旧陸軍施設について、行政が記録保存のための調査を行ったむね、岩手日報が伝えています。記事中では「保存状態は悪くない」と活用の可能性を示していますが、工場側は解体作業を進める意向のようです。
旧兵舎の記録未来へ 盛岡市が調査開始
岩手日報:2008/01/16
近く解体される盛岡市青山2丁目の森永乳業盛岡工場(宇賀地直裕工場長)敷地内にある旧陸軍施設の建物で15日、建物の記録保存を目的とした市の調査が始まった。市職員ら7人が同工場を訪れ、建物の測量や建築手法の確認、写真撮影などを行った。調査は17日までの予定。
建物は木造2階建てで、延べ床面積は約630平方メートル。1910(明治43)年、同地に駐留した旧陸軍騎兵第3旅団第23連隊の兵舎として建設された。
第2次世界大戦後に土地と建物が払い下げられ、同工場は事務所などに利用してきた。しかし、増産を目的とした増改築の工事が昨夏から始まり、敷地内が手狭になるため建物の解体が決まった。
市民団体などから100年近い歴史がある建物が姿を消すことを惜しむ声もあるが、市は「建物の内部は手が加えられており、文化財としての評価は難しい。税金の投入はできない」(川端順二環境企画課長)として、取得しての保存を断念。図面や写真などの「記録」として保存することにした。
建物の調査を依頼された同市の建築家渡辺敏男さんは「改修された部分もあるが、当時の技法に合わせて気を使って改修している。保存状態はそれほど悪くない」と評価。
同工場の渡辺政利事務課長は「社としては保存よりも生産を優先に考えている。その上で保存できればよかったが、スペースの都合などで不可能だった。早ければ今週末に解体作業を始める」としている。