先日、大幅な解体方針を発表した都市再生機構ですが、所謂「スターハウス」について保存の動きがあるそうです。朝日新聞が伝えているのは枚方市の仁川団地と堺市の金岡団地。団地にかつてあった文化を保存する動きがあるのは大変喜ばしいことですが、あくまでも大規模な整理を行う中で保存されるのはごくわずか。建築的環境としての全体的な保存、再生があってもよいと思います。
スターハウスに保存の動き 「団地鑑賞族」ら惜しむ声
朝日新聞:2008年02月06日
旧日本住宅公団が半世紀近く前に建設し、星の形をした斬新なデザインで人気を集めたスターハウスと呼ばれる団地を保存する動きが出ている。老朽化のため次々と姿を消しているが、「団地鑑賞族」といわれるマニアによって広く知られるようになり、取り壊しを惜しむ声が出ていた。公団を受け継いだ都市再生機構も「何らかの形で残したい」との意向だ。
約10万平方メートルの丘陵地帯に46棟が立つ兵庫県宝塚市の仁川(にがわ)団地。1959〜61年に建設され、敷地のほぼ中央に8棟のスターハウスが円上に並ぶ。大半は空き家だが、洗濯物や鉢植えが並んだベランダもある。4畳半と6畳がある2DKで約35平方メートル。3方に窓があるため、どの部屋も明るい。
関西でスターハウスが残っているのは、仁川と香里団地(大阪府枚方市)の4棟。仁川の8棟は取り壊しが決まっており、香里も将来的にはなくなる可能性が高い。ただ、機構の福永清・西日本支社長は「団地の価値を見つめ直して、今後の計画をつくっていきたい」と話している。
都市再生機構によると、スターハウスは全国9団地49棟が残っている。昭和30年代に建てられた団地の半分が取り壊されているため、当時は現存数の数倍あったとみられている。
大阪府藤井寺市でスターハウスを保存しようという事業が進んでいる。
同市の春日丘団地には3棟のスターハウスがあり、05年に持ち上がった再開発計画で取り壊すことになった。だが、担当者が「画期的な設計。壊すのはもったいない」と主張。保存策を検討した結果、1棟の中に給水施設を新たに入れて再利用することになった。外壁も塗り替え、3月には約3千万円をかけて改修されたスターハウスがお目見えする。
公団の団地第1号となった堺市の金岡団地には「スターハウスメモリアル」がある。広場の一角にテーブルや本棚などを置いて室内を再現。97年2月、再開発事業で8棟あったスターハウスを取り壊した際につくった。機構の広報担当者によると、春日丘団地や金岡団地以外に国内でスターハウスを保存した場所は見あたらないという。
<スターハウス>1フロアに3戸を3方向に突き出したように配置した集合住宅。5階建てが多い。プライバシーや採光性を考えた設計という。昭和30年代を中心に全国で造られた。ここ数年、古い団地を特集したホームページや雑誌が出ているが、中でもスターハウスはその独特のデザインから「団地の花」と呼ばれている。公団以外に民間や公営住宅にもある。