ヴォーリズ設計の六甲山荘がナショナルトラストで買い取られたそうです。購入したのはNPO法人
「アメニティ2000協会」。同協会ホームページでは今後の保存・活用に向けた募金もつのっています。ナショナルトラストには難しい点もありますが、こうした成功事例を積み上げていくことで同様に保存活用を必要としている建築物の活用が進んでゆけば良いと思います。
ヴォーリズ建築保存へ 市民募金で六甲山荘を購入
神戸新聞:2008.03.26
米国出身の建築家ヴォーリズ(一八八〇-一九六四年)が設計し、一九三四(昭和九)年に六甲山上に建てられた六甲山荘(神戸市灘区)が二十五日、西宮市の特定非営利活動法人(NPO法人)「アメニティ2000協会」(清水彬久理事長)に買い取られた。資金は、市民から募るナショナル・トラスト方式で賄った。戦前からのリゾート地、六甲山の歴史を伝える貴重な建築物で、同協会は七月から一般公開する準備を進めている。(新開真理)
六甲山荘は木造平屋建て約二百六十平方メートル。暖炉のあるホールや食堂、寝室四部屋などからなり、山上の厳しい環境から建物を守る工夫や、快適な生活のための配慮が随所に見られる。状態も良好で、同協会は「建設当時の姿がそのまま残り、ヴォーリズの精神に触れることができる」と評価する。
山荘は個人の別荘として建てられ、七五年以降甲南女子学園の学習施設として使われてきたが、二〇〇一年に閉鎖。同協会が保存を求めて交渉を重ねる中で購入を決め、二千万円を目標に市民に募金を呼び掛けてきた。建物の魅力を広く知ってもらおうと内覧会を開き、不足分は会の基金を充てた。
今後、外壁を塗り直すなどして七月五日にオープニング行事を開く。清水理事長は「社会の共有財産として、多くの人に親しまれる建物になるように、活用方法を考えたい」と話している。
ヴォーリズ建築は関西学院大の学舎などが知られるが、神戸市須磨区の旧室谷邸が昨年取り壊されるなど、保存が課題になっている。